今日はGRETというNGOがサポートしている、農家さんの共同販売グループEcoFarmの方たちがファームに視察に来てくれました。


39607986_263613247590667_6399509779370213376_n


GRETのサポートの元、EcoFarmは農薬を100%使用しない農業を実践していて現在は化学肥料も減らす方向で進めているそうです。
私たちも無農薬、無化学肥料で4年間農業を続けてきているので、お互いが直面している問題などをディスカッションできてとても有意義な時間となりました。

39624006_285702192214982_1392582925991542784_n



無農薬農業にチャレンジすることは容易なことではありません。農薬を使ったほうが手間もかからず、収量も増えるはずですから。
無農薬農業に取り組んでいる農家さんたちがいるということ、
GRETが何年もかけて環境や人体への被害を農家の人たちに伝える努力をしてきた結果だと思います。
そしてその方たちと一緒にプロジェクトを進めていけることはとてもありがたいことです。

39900586_291530594982498_6234026811169177600_n


『オーガニックな生活』とか『オーガニックのものしか食べません』とかって、響きは素敵に聞こえるかもしれないけど
オーガニックの農産物がどうやって作られているのか、農業の現実を理解している人は多くないのではないかと思います。
私自身、農業に関わるまではまったく無関心でした。

個人の家の小さな畑や小さな果樹園で採れたものであればオーガニック栽培はできると思いますが、カンボジアの市場で大量に売られている野菜や果物は
ほとんどが隣国からの輸入品であり、カンボジアのものでも多くが農薬や化学肥料が使われています。
この日差しが強く雨がたくさん降る地域で除草剤を使わなければ、あっという間に畑は草で覆われてしまいます。草も増えればちろん虫も増え、農薬を使わなければ大切に育てた野菜たちが虫にやられるのを黙ってみているしか方法はありません(実際は手で虫をつかまえてつぶすという作業がありますが)
大規模な敷地で刈っても刈っても生えてくる草とひたすら格闘する、小さな虫をひとつひとつ手でつぶしていく、これは大規模農業では不可能です。
やるとしたら膨大な人件費がかかります。その人件費が野菜の価格に反映されれば、だれもが『きゅうりがこんなに高いなんて!』といって見向きも
してくれません。

たとえば、マンゴー。カンボジアのマンゴーの旬は4月~6月くらいです。1年に1回しか実はなりません。旬のマンゴーを食べるのならこの時期でけです。
ただし開花促進剤や成長促進剤などのホルモン剤を使えばより多く収穫することができます。
1年中季節に関係なく食べたいものが食べられる、世界中からやってきた食べ物がスーパーに並んでいる、これは幸せなことなのか、不幸なことなのか。
どうとらえるかは自分次第、何を選ぶかは人それぞれですね。

市場で『これは無農薬だよ~』と言われても実際のところは無農薬という言葉の認識が人それぞれ違ったりもします。
たとえば、実がなるまでは農薬を使う、実がなってからは使わない、だから実には農薬がついていないという捉え方をして無農薬と言っているケースもあります。
土、茎、葉っぱに残る残存農薬は考えません。
でも、生産現場からかけ離れたところにいる消費者は、その表示を見て判断するしかありません。
そういう意味からも地産地消、自分の暮らす身近なところの食べ物を食べるということは食の基本なのかもしれません。

ひとことで『オーガニック』と説明すると消費者にイメージを掴んでもらいやすいという理由で、私たちもオーガニック農業をしているという言葉を使ったりしますが、意味としては無農薬、無化学肥料で農業をしているということです。
オーガニック認証機関からのオーガニック認証はまだ取得していません。
世界中にたくさんのオーガニック認証機関があり、オーガニックの基準も様々です。
そして申請料、毎年の更新料は高額なため、東南アジアの一般的な農家さんが個人で取得することはまず不可能であろうと思います。
かといって、本当に無農薬、無化学肥料で栽培していても認証がなければ信用されません。
逆に実際は無農薬、無化学肥料でやっていなくても、『この野菜はオーガニックです。無農薬です』と言えてしまう可能性も大いにあるわけです。

私は、自分が食べているものが身体をつくると思っているので、食べることをとても大切にしています。
何を食べるか、誰と食べるか、どんな気持ちで食べるか。
多くの人は病気になってから初めて自分の健康や身体に関心を持ちます。健康な時は健康が当たり前で、仕事が忙しいから毎日コンビニ食だけとか、好きなものが食べたいからと毎日炭水化物オンリーの食生活とかお菓子が食事とか。
病気になる原因はもちろん食べ物からだけではなく、色々な要因が重なり合って発生するのだと思いますが、少しでも元気に健康に暮らして
いけるように食べるという毎日の行為に対して、日々少しずつ関心をもって大切に生きたいなと思います。
オーガニックのものなんて高くて食べられないよ!っていう人もいますが、私自身オーガニック信仰があるわけではなく、身体にいいものを食べたい信仰です。

自分の身体が喜ぶと感じるものをすこしでいいから大切に食べる、おいしく笑って楽しく食べる、ひとりの時も作ることや食べることを楽しむ、おいしいなぁ、体が喜んでいるなぁと思えるものを食べる。


39777398_464204737408940_4279987163036123136_n



無農薬にチャレンジしている農家さんとのミーティングでまた自分自身、たくさんの学びや気づきをもらった1日でした。